徒然草205|比叡山に。大師勧請の起請といふことは、慈恵僧正書き始め給ひけるなり・・・
真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
比叡山発祥の起請文は正式な法でなく近代の慣習だとし、水火の穢れに関する法令にも言及しています。
・大師勧請の起請:弘法大師を召喚した誓約なので、比叡山では最高レベルの誓い
・穢れ:律令のなかでも服喪や穢悪のリストなどが言及されている
🌙現代語対訳
比叡山には、大師勧請の起請という形式の起請文がありますが、
比叡山に。大師勧請の起請といふことは、
これは慈恵僧正という高僧が書始めたものです。
慈恵僧正書き始め給ひけるなり。
起請文というものは、法律家の世界では用いられるものではありません。
起請文といふこと、法曹にはその沙汰なし。
昔の優れた時代には、
いにしへの聖代、
起請文に基づいて行われる政治などなく、
すべて起請文につきてをこなはるる政はなきを、
近頃になって広まったものです。
近代のこと流布したるなり。
また、法律の定めでは、水や火そのものが不浄になることはなく、
また、法令には、水火に穢れをたてず。
それを入れる容器は不浄になることがある、ということです。
入れ物には穢れあるべし。
📚古文全文
比叡山に。大師勧請の起請といふことは、慈恵僧正書き始め給ひけるなり。起請文といふこと、法曹にはその沙汰なし。いにしへの聖代、すべて起請文につきてをこなはるる政はなきを、近代のこと流布したるなり。また、法令には、水火に穢れをたてず。入れ物には穢れあるべし。