真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
柳筥への物の入れ方について、「縦置き」が良いとする三条右大臣の説と、「横置き」が良いとする書道の大家の作法の両説を併記している。

🌙現代語対訳
柳筥に物を置く時、縦向きか、横向きか、物によるのでしょうか。
柳筥に据ゆる物は、縦さま、横さま、物によるべきにや。
「巻物などは、縦向きに置いて、木の間から、
「巻物などは、縦さまに置きて、木のあはひより、
紙のこよりを通して結びつけます。
紙ひねりを通して結ひ付く。
硯も縦向きに置くと、筆が転がらなくて、良い」と、
硯も縦さまに置きたる。筆転ばず、よし」と、
三条右大臣様は、おっしゃいました。
三条右大臣殿、仰せられき。
勘解由小路家の書道の大家の方々は、
勘解由小路の家の能書の人々は、
決して縦向きに置くことはありませんでした。
かりにも縦さまに置かるることなし。
必ず、横向きに置かれたということです。
必ず横さまに据ゑられ侍りき。
📚古文全文
柳筥に据ゆる物は、縦さま、横さま、物によるべきにや。
「巻物などは、縦さまに置きて、木のあはひより、紙ひねりを通して結ひ付く。硯も縦さまに置きたる。筆転ばず、よし」と、三条右大臣殿、仰せられき。
勘解由小路の家の能書の人々は、かりにも縦さまに置かるることなし。必ず横さまに据ゑられ侍りき。