古文で読みたい

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徒然草237|柳筥に据ゆる物は、縦さま、横さま、物によるべきにや・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

柳筥への物の入れ方について、「縦置き」が良いとする三条右大臣の説と、「横置き」が良いとする書道の大家の作法の両説を併記している。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

柳筥に物を置く時、縦向きか、横向きか、物によるのでしょうか。

柳筥やないばこゆるものは、たてさま、よこさま、ものによるべきにや。

「巻物などは、縦向きに置いて、木の間から、

巻物まきものなどは、たてさまにきて、のあはひより、

紙のこよりを通して結びつけます。

かみひねりをとおしてく。

硯も縦向きに置くと、筆が転がらなくて、良い」と、

すずりたてさまにきたる。ふでころばず、よし」と、

三条右大臣様は、おっしゃいました。

三条さんじょう右大臣うだいじん殿どのおおせられき。

勘解由小路家の書道の大家の方々は、

勘解由小路かでのこうじいえ能書のうしょ人々ひとびとは、

決して縦向きに置くことはありませんでした。

かりにもたてさまにかるることなし。

必ず、横向きに置かれたということです。

かならよこさまにゑられはべりき。

📚古文全文

柳筥やないばこゆるものは、たてさま、よこさま、ものによるべきにや。
巻物まきものなどは、たてさまにきて、のあはひより、かみひねりをとおしてく。すずりたてさまにきたる。ふでころばず、よし」と、三条さんじょう右大臣うだいじん殿どのおおせられき。
勘解由小路かでのこうじいえ能書のうしょ人々ひとびとは、かりにもたてさまにかるることなし。かならよこさまにゑられはべりき。