古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草233|よろづの咎あらじと思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

欠点のない人物とは誠実で寡黙な人のこと。逆に、知ったかぶりで人を軽んじる態度は、あらゆる欠点の根源だと説く。

🌙現代語対訳

「あらゆる過ちがないようにしたい」と思うのであれば、

「よろづのとがあらじ」とおもはば、

何事においても誠実で、相手によって態度を変えず、

何事なにごとにもまことありて、ひとかず、

誰にでも敬意を払い、口数を少なくするに越したことはありません。

うやうやしく、言葉ことばすくなからんにはしかじ。

男性でも女性でも、年寄りでも若者でも、皆そのような人であるのが良いのですが、

男女なんにょ老少ろうしょう、みなさるひとこそよけれども、

特に、若くて容姿の美しい人が、言葉遣いまで上品であると、

ことにわかかたちよきひとの、ことうるはしきは、

それは忘れがたく、心に残るものです。

わすれがたく、おもひつかるるものなり。

あらゆる過ちは、慣れた様子で専門家ぶったり、

よろづのとがは、れたるさまに上手じょうずめき、

何かを体得したような顔をして、人を軽んじることから生まれるのです。

所得ところえたる気色けしきとして、ひとをないがしろにするにあり。

📚古文全文

「よろづのとがあらじ」とおもはば、何事なにごとにもまことありて、ひとかず、うやうやしく、言葉ことばすくなからんにはしかじ。
男女なんにょ老少ろうしょう、みなさるひとこそよけれども、ことにわかかたちよきひとの、ことうるはしきは、わすれがたく、おもひつかるるものなり。
よろづのとがは、れたるさまに上手じょうずめき、所得ところえたる気色けしきとして、ひとをないがしろにするにあり。