真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
欠点のない人物とは誠実で寡黙な人のこと。逆に、知ったかぶりで人を軽んじる態度は、あらゆる欠点の根源だと説く。
🌙現代語対訳
「あらゆる過ちがないようにしたい」と思うのであれば、
「よろづの咎あらじ」と思はば、
何事においても誠実で、相手によって態度を変えず、
何事にもまことありて、人を分かず、
誰にでも敬意を払い、口数を少なくするに越したことはありません。
うやうやしく、言葉少なからんにはしかじ。
男性でも女性でも、年寄りでも若者でも、皆そのような人であるのが良いのですが、
男女・老少、みなさる人こそよけれども、
特に、若くて容姿の美しい人が、言葉遣いまで上品であると、
ことに若く形よき人の、言うるはしきは、
それは忘れがたく、心に残るものです。
忘れがたく、思ひつかるるものなり。
あらゆる過ちは、慣れた様子で専門家ぶったり、
よろづの咎は、馴れたるさまに上手めき、
何かを体得したような顔をして、人を軽んじることから生まれるのです。
所得たる気色として、人をないがしろにするにあり。
📚古文全文
「よろづの咎あらじ」と思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく、言葉少なからんにはしかじ。
男女・老少、みなさる人こそよけれども、ことに若く形よき人の、言うるはしきは、忘れがたく、思ひつかるるものなり。
よろづの咎は、馴れたるさまに上手めき、所得たる気色として、人をないがしろにするにあり。