真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
陰陽師が筆者に、無駄に広い庭を畑にして食物や薬草を植えるべきだと忠告し、筆者もそれに賛同する。

🌙現代語対訳
陰陽師の有宗入道という人が、鎌倉から京都にきて、
陰陽師有宗入道、鎌倉より上りて、
私を訪ねてくれました。
尋ね詣で来たりしが、
家に入るなり、
まづさし入りて、
「この庭が、無駄に広いというのは、
「この庭のいたづらに広きこと、
嘆かわしいことで、あるべき姿ではありません。
あさましく、あるべからぬことなり。
物事の道理をわきまえた人は、何かを植えることに努めるものです。
道を知る者は、植うることをつとむ。
細い道を一本だけ残して、
細道一つ残して、
あとはすべて畑にしなさい」と、忠告してくれたのです。
みな畑に作り給へ」と、いさめ侍りき。
その通りで、少しの土地でも
まことに少しの地をも
無駄にしておくのは、
いたづらに置かんことは、
何の利益にもならないことです。
益なきことなり。
食べる物や、薬草などを植えておくべきです。
食ふ物・薬種などを植え置くべし。
📚古文全文
陰陽師有宗入道、鎌倉より上りて、尋ね詣で来たりしが、まづさし入りて、「この庭のいたづらに広きこと、あさましく、あるべからぬことなり。道を知る者は、植うることをつとむ。細道一つ残して、みな畑に作り給へ」と、いさめ侍りき。
まことに少しの地をもいたづらに置かんことは、益なきことなり。食ふ物・薬種などを植え置くべし。