古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草193|暗き人の、人を量りて、その智を知れりと思はん、さらに当たるべからず・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

自分の専門を基準に他人を評価するのは間違いだ。専門外のことで人と優劣を争ったり是非を判断すべきではない。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

物事の道理に暗い人が、他人を評価して、「賢さの程度は分かった」などと思っても、

くらひとの、ひとはかりて、「そのれり」とおもはん、

当たることはまずありません。

さらにたるべからず。

 

 

愚かな人が、囲碁を打つことだけは、鋭く巧みであるとして、

つたなきひとの、つことばかりに、さとくたくみなるは、

賢い人が、この芸が下手なのを見て、

さかひとの、このげいにおろかなるをて、

「私の知恵には及ばない」と決めつけたり、

「おのれがおよばず」とさだめて、

いろいろな専門分野の職人が、自分の専門を他人が知らないのを見て、

よろづのみちたくみ、わがみちひとらざるをて、

「自分は優れている」と思うのは、

「おのれ、すぐれたり」とおもはんこと、

大きな間違いでしょう。

おおきなるあやまりなるべし。

 

 

教理に専念する僧侶と、座禅に専念する禅僧が、お互いを評価して

文字もんじ法師ほふし暗証あんしょう禅師ぜんじたがひにはかりて、

「自分が上だ」と思っているのも、どちらの評価も当たってはいません。

「おのれにしかず」とおもへる、ともにたらず。

 

 

自分の専門分野ではないことについては、競ってはなりません。

おのれが境界きやうがいにあらざるものをば、あらそふべからず。

善し悪しを判断してもいけません。

是非ぜひすべからず。

📚古文全文

くらひとの、ひとはかりて、「そのれり」とおもはん、さらにたるべからず。
つたなつたなひとの、つことばかりに、さとくたくみなるは、さかひとの、このげいにおろかなるをて、「おのれがおよばず」とさだめて、よろづのみちたくみ、わがみちひとらざるをて、「おのれ、すぐれたり」とおもはんこと、おおきなるあやまりなるべし。
文字もんじ法師ほふし暗証あんしょう禅師ぜんじたがひにはかりて、「おのれにしかず」とおもへる、ともにたらず。
おのれが境界きやうがいにあらざるものをば、あらそふべからず。是非ぜひすべからず。