真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
自分の専門を基準に他人を評価するのは間違いだ。専門外のことで人と優劣を争ったり是非を判断すべきではない。

🌙現代語対訳
物事の道理に暗い人が、他人を評価して、「賢さの程度は分かった」などと思っても、
暗き人の、人を量りて、「その智を知れり」と思はん、
当たることはまずありません。
さらに当たるべからず。
愚かな人が、囲碁を打つことだけは、鋭く巧みであるとして、
つたなき人の、碁打つことばかりに、さとく巧なるは、
賢い人が、この芸が下手なのを見て、
賢き人の、この芸におろかなるを見て、
「私の知恵には及ばない」と決めつけたり、
「おのれが智に及ばず」と定めて、
いろいろな専門分野の職人が、自分の専門を他人が知らないのを見て、
よろづの道の匠、わが道を人の知らざるを見て、
「自分は優れている」と思うのは、
「おのれ、すぐれたり」と思はんこと、
大きな間違いでしょう。
大きなる誤りなるべし。
教理に専念する僧侶と、座禅に専念する禅僧が、お互いを評価して
文字の法師・暗証の禅師、互ひに量りて、
「自分が上だ」と思っているのも、どちらの評価も当たってはいません。
「おのれにしかず」と思へる、ともに当たらず。
自分の専門分野ではないことについては、競ってはなりません。
おのれが境界にあらざるものをば、争ふべからず。
善し悪しを判断してもいけません。
是非すべからず。
📚古文全文
暗き人の、人を量りて、「その智を知れり」と思はん、さらに当たるべからず。
つたなき人の、碁打つことばかりに、さとく巧なるは、賢き人の、この芸におろかなるを見て、「おのれが智に及ばず」と定めて、よろづの道の匠、わが道を人の知らざるを見て、「おのれ、すぐれたり」と思はんこと、大きなる誤りなるべし。
文字の法師・暗証の禅師、互ひに量りて、「おのれにしかず」と思へる、ともに当たらず。
おのれが境界にあらざるものをば、争ふべからず。是非すべからず。