古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草185|城陸奥守泰盛は、さうなき馬乗りなりけり。馬を引き出ださせけるに・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

馬術の達人・安達泰盛は、敷居の越え方で馬の良し悪しを見抜いた。達人ならではの慧眼を示す逸話である。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

陸奥守泰盛(安達泰盛)は、

陸奥じやうのむつのかみ泰盛やすもりは、

並ぶ者のいない馬術の達人でした。

さうなき馬乗うまのりなりけり。

馬を引き出させた時、

うまださせけるに、

両足を揃えて、敷居をゆったりと優雅に越えるのを見ると、

あしそろへてしきみゆらりゆるをては、

「これは元気で勇敢な馬だ」と言って、

「これはいさめるうまなり」とて、

鞍を置き替えさせました。

くらへさせけり。

また、馬が足を伸ばして敷居を蹴ったときは、

また、あしべてしきみ蹴当けあてぬれば、

「これは鈍い馬で、きっと間違いを起こすだろう」と言って、

「これはにぶくして、あやまちあるべし」とて、

その馬に乗ることはありませんでした。

らざりけり。

その道の本質を知らない人が、

みちらざらんひと

これほど注意を払うことができるでしょうか。

かばかりおそれなんや。

📚古文全文

陸奥じやうのむつのかみ泰盛やすもりは、さうなき馬乗うまのりなりけり。
うまださせけるに、あしそろへてしきみゆらりゆるをては、「これはいさめるうまなり」とて、くらへさせけり。また、あしべてしきみ蹴当けあてぬれば、「これはにぶくして、あやまちあるべし」とて、らざりけり。
みちらざらんひと、かばかりおそれなんや。