真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
宮中の儀式の剣を三種の神器の宝剣と勘違いした侍を、元典侍の女房がそっと正す。その深い知識をひけらかさない奥ゆかしい態度に、筆者は深く感心したと語る。

🌙現代語対訳
どこかの屋敷の侍たちが、宮中で行われる内侍所の御神楽を見物し、
ある所の侍ども、内侍所の御神楽を見て、
人に語っていました。「宝剣を、あの方がお持ちになっていたぞ」
人に語るとて、「宝剣をば、その人ぞ持ち給ひつる」
などと話しているのを聞いて、奥に仕える女官の一人が、
など言ふを聞きて、内なる女房の中に、
「陛下が別の建物へいらっしゃるとき使う、昼の御座所の剣です」と、
「別殿の行幸には、昼御座の御剣にてこそあれ」と、
小声で言いました。感心しました。
忍びやかに言ひたりし。心にくかりき。
この女官は、以前、典侍を務めた方だったということです。
その人、古き典侍なりけるとかや。
📚古文全文
ある所の侍ども、内侍所の御神楽を見て、人に語るとて、「宝剣をば、その人ぞ持ち給ひつる」など言ふを聞きて、内なる女房の中に、別殿の行幸には、昼御座の御剣にてこそあれ」と、忍びやかに言ひたりし。心にくかりき。
その人、古き典侍なりけるとかや。