徒然草176|黒戸は、小松御門、位につかせ給ひて、昔、ただ人におはしましし時・・・
真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
宮中にある「黒戸」の名は光孝天皇に由来する。天皇は即位後も皇子時代の苦労を忘れず、自ら薪を焚く日課を続けた。その部屋が煤で黒くなったため「黒戸」と呼ばれる。

🌙現代語対訳
宮中にある「黒戸」は、光孝天皇が、天皇の位におつきになってから、
黒戸は、小松御門、位につかせ給ひて、
昔、臣下の身分でいらっしゃった時、
昔、ただ人におはしましし時、
ふさわしくない炊事をなさってたのを、お忘れにならず、
まさなごとせさせ給ひしを忘れ給はで、
常に続けていらっしゃいました部屋です。
常に営ませ給ひける間なり。
薪の煤で黒くなっていたので、
御薪にすすけたれば、
「黒戸」と呼ぶのだそうです。
黒戸といふとぞ。
📚古文全文
黒戸は、小松御門、位につかせ給ひて、昔、ただ人におはしましし時、まさなごとせさせ給ひしを忘れ給はで、常に営ませ給ひける間なり。
御薪にすすけたれば、黒戸といふとぞ。