徒然草169|何事の式といふことは、後嵯峨の御代までは言はざりけるを・・・
真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
「式」という言葉は最近使われ始めた、という説は間違いだ。それより前の時代の歌人が使っていることを例に挙げて論破している。

🌙現代語対訳
「何々の式という言葉は、後嵯峨天皇の御代(即位1242年)までは使われず、
「何事の式といふことは、後嵯峨の御代までは言はざりけるを、
最近になって言い始めた言葉だ」と、ある人が申しておりました。
近きほどより言ふ言葉なり」と人の申し侍りしに、
後鳥羽天皇が即位(1183年)された後に、再び宮仕えした時のことを書いた文章の中に、
後鳥羽院御位ののち、また内裏住みしたることを言ふに、
「世間のしきたりも特に変わったことはありませんが」と使っています。
「世のしきも変りたることはなきにも」と書きたり。
📚古文全文
「何事の式といふことは、後嵯峨の御代までは言はざりけるを、近きほどより言ふ言葉なり」と人の申し侍りしに、建礼門院の右京大夫、後鳥羽院御位ののち、また内裏住みしたることを言ふに、「世のしきも変りたることはなきにも」と書きたり。