徒然草164|世の人、あひ会ふ時、暫くも黙止することなし。必ず言葉あり・・・
真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
人々は会うと無益な話をしがちだ。人の噂話や是非の議論は損が多く、当人はそのことに気づいていない。
🌙現代語対訳
世間の人々は、誰かと顔を合わせると、
世の人、あひ会ふ時、
少しの間も黙っていることがありません。
暫くも黙止することなし。
必ず言葉を交わします。
必ず言葉あり。
その内容を聞いてみると、
そのことを聞くに、
その多くは役に立たない無駄話です。
多くは無益の談なり。
世間の噂話や、他人の評判は、
世間の浮説、人の是非、
自分にとっても相手にとっても、失うものは多く、得るものはほとんどありません。
自他のために、失多く得少なし。
そうした話をしている最中は、
これを語る時、
お互いの心の中で、
互ひの心に、
「無益なことだ」とは気づいていないのです。
「無益のことなり」といふことを知らず。
📚古文全文
世の人、あひ会ふ時、暫くも黙止することなし。必ず言葉あり。そのことを聞くに、多くは無益の談なり。世間の浮説、人の是非、自他のために、失多く得少なし。
これを語る時、互ひの心に、「無益のことなり」といふことを知らず。