徒然草146|明雲座主、相者にあひ給ひて、おのれ、もし、兵仗の難やある・・・
真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
高僧の明雲が武器による災いを尋ねると、占い師は高貴な方がそれを気にかけること自体が危難の兆しと告げた。果たして明雲は矢に当たり亡くなった。

🌙現代語対訳
明雲座主(延暦寺の最高位)が、占い師にお会いになって、
明雲座主、相者にあひ給ひて、
「私に、もしや、武器による災難が起こるだろうか」とお尋ねになったところ、
「おのれ、もし、兵仗の難やある」と尋ね給ひければ、
占い師は、「確かにその相がございます」と言った。
相人、「まことにその相おはします」と申す。
「どのような相か」とお尋ねになると、
「いかなる相ぞ」と尋ね給ひければ、
「傷害を受ける恐れなどない御身分でありながら、
「傷害の恐れおはしますまじき御身にて、
一時的にでもこのように心配なさってお尋ねになる。
かりにもかく思し寄りて尋ね給ふ。
これこそが、すでに危険の兆候なのです」と言いました。
これ、すでにその危ぶみのきざしなり」と申しけり。
予言のとおり、矢に当たって亡くなってしまいました。
はたして、矢に当りて失せ給ひにけり。
📚古文全文
明雲座主、相者にあい給いて、「おのれ、もし、兵仗の難やある」と尋ね給いければ、相人、「まことにその相おわします」と申す。「いかなる相ぞ」と尋ね給いければ、「傷害の恐れおわしますまじき御身にて、かりにもかく思し寄りて尋ね給う。これ、すでにその危ぶみのきざしなり」と申しけり。
はたして、矢に当たりて失せ給いにけり。