古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草123|無益のことをなして時を移すを、愚かなる人とも・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

人生に不可欠なものは衣食住と医療の四つであり、それ以上を求めるのは驕りである。この四つを倹約すれば十分に満ち足りるという、兼好法師の質素な暮らしへの勧め。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

役に立たないことをして時間を過ごす人を、

無益むやくのことをなしてときうつすを、

愚かな人、あるいは誤りを犯す人と言うべきです。

おろかなるひととも、僻事ひがごとするひとともふべし。

国のため、天皇のために、どうしても、やらなければならないことが多く、

くにのため、きみのために、むことをずして、なすべきことおおし。

余りの時間は、いくらもありません。

そのあまりのいとま、いくばくならず。

 

よく考えるべきです。人間としてどうしても必要なことは、

おもふべし、ひとむことをずしていとなところ

第一に食べ物、第二に着る物、第三に住む場所です。

第一だいいちもの第二だいにもの第三だいさんところなり。

人間の大事なことは、この三つ以上のものはありません。

人間にんげん大事だいじ、このつにはぎず。

飢えることなく、凍えることなく、雨風に打たれることもなく、

ゑず、さむからず、風雨ふううおかされずして、

穏やかに過ごす生活を楽しむべきです。

しづかにぐすをたのしみとす。

ただし、人間は誰でも病気になります。

ただし、ひと、みなやまひあり。

病気にかかってしまえば、その苦しみは耐えがたいものです。

やまひおかされぬれば、そのうれしのびがたし。

健康管理を忘れてはなりません。

医療いりょうわするべからず。

 

薬を加えた四つ(衣食住薬)が満たされない状態は「貧しい」と言えます。

くすりくはへて、よっつのこともとざるをまずしとす。

この四つが、満たされる状態は「裕福」と言えます。

このよっつ、けざるをめりとす。

そして、この四つ以上を求めようとすることは「贅沢」と言えます。

このよっつのほかをもといとなむをおごりとす。

四つのことがつつましく満たされれば、誰が不十分だと思うでしょうか。

よっつのこと倹約けんやくならば、たれひとらずとせん。

📚古文全文

無益むやくのことをなしてときうつすを、おろかなるひととも、僻事ひがごとするひとともふべし。くにのため、きみのために、むことをずして、なすべきことおおし。そのあまりのいとま、いくばくならず。
おもふべし、ひとむことをずしていとなところ第一だいいちもの第二だいにもの第三だいさんところなり。人間にんげん大事だいじ、このつにはぎず。ゑず、さむからず、風雨ふううおかされずして、しづかにぐすをたのしみとす。ただし、ひと、みなやまひあり。やまひおかされぬれば、そのうれしのびがたし。医療いりょうわするべからず。
くすりくはへて、よっつのこともとざるをまずしとす。このよっつ、けざるをめりとす。このよっつのほかをもといとなむをおごりとす。よっつのこと倹約けんやくならば、たれひとらずとせん。