真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
双六の名人は「勝つ」ためでなく「負けない」ために打つという。最悪の手を常に避けるという必勝法は、自己の修養や国家の統治にも通じる、普遍的な教えである。

🌙現代語対訳
双六の名人と言われた人に、その方法を尋ねたところ、
双六の上手といひし人に、その行を問ひ侍りしかば、
「『勝とう』と思って打ってはいけません。
「『勝たん』と打つべからず。
『負けないように』と打つのです。
『負けじ』と打つべきなり。
『どの手を選んだら、早く負けてしまうか』と考え、
『いづれの手か、とく負くべき』と案じて、
その手を使わずに、
その手を使はずして、
一手でも遅く負ける手を選ぶべきです」と言った。
一目なりとも遅く負くべき手につくべし」と言ふ。
本質を知っている人の教えである。
道を知れる教へ、
我が身を治め、国を安泰に保つ道も、またこれと全く同じことなのだ。
身を治め、国を保たん道も、またしかなり。
📚古文全文
双六の上手といひし人に、その行を問ひ侍りしかば、「『勝たん』と打つべからず。『負けじ』と打つべきなり。『いづれの手か、とく負くべき』と案じて、その手を使はずして、一目なりとも遅く負くべき手につくべし」と言ふ。
道を知れる教へ、身を治め、国を保たん道も、またしかなり。