古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草110|双六の上手といひし人に、その行を問ひ侍りしかば・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

双六の名人は「勝つ」ためでなく「負けない」ために打つという。最悪の手を常に避けるという必勝法は、自己の修養や国家の統治にも通じる、普遍的な教えである。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

双六の名人と言われた人に、その方法を尋ねたところ、

双六すごろく上手じょうずといひしひとに、そのてだてはべりしかば、

「『勝とう』と思って打ってはいけません。

「『たん』とつべからず。

『負けないように』と打つのです。

けじ』とつべきなり。

『どの手を選んだら、早く負けてしまうか』と考え、

いづれか、とくくべき』とあんじて、

その手を使わずに、

その使つかはずして、

一手でも遅く負ける手を選ぶべきです」と言った。

一目いちもくなりともおそくべきにつくべし」とふ。

 

本質を知っている人の教えである。

みちれるおしへ、

我が身を治め、国を安泰に保つ道も、またこれと全く同じことなのだ。

おさめ、くにたもたんみちも、またしかなり。

📚古文全文

双六すごろく上手じょうずといひしひとに、そのてだてはべりしかば、「『たん』とつべからず。『けじ』とつべきなり。『いづれか、とくくべき』とあんじて、その使つかはずして、一目いちもくなりともおそくべきにつくべし」とふ。
みちれるおしへ、おさめ、くにたもたんみちも、またしかなり。