真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
医師の忠守が、公卿になぞなぞで「唐瓶子」とからかわれ、腹を立てて帰ってしまったという話。
斜視(眇目)だったらしい。同じ名前の読みで斜視だった平忠盛(伊勢忠盛)が「伊勢瓶子(へいし=平氏)は酢瓶(すがめ=眇目)なりけり」とからかわれた逸話(平家物語)と、丹波氏が渡来人であることと、さらに忠守が医師であることとかけて、三条公明に「からへいし(=唐瓶子、唐医師)」とからかわれて怒った

🌙現代語対訳
後宇多上皇のお屋敷(大覚寺殿)で、お側に仕える人々が、なぞなぞを作っては解いていたところへ、
大覚寺殿にて、近習の人ども、なぞなぞを作りて解かれけるところへ、
医師の丹波忠守が来ました。
医師忠守参りたりけるに、
すると、その場にいた侍従大納言の公明卿という方が、
侍従大納言公明卿、
「日本の者とは思えない忠守とは?」と、なぞなぞを出されたところ、
「わが朝の者とも見えぬ忠守かな」と、なぞなぞにせられにけるを、
「唐瓶子です」と解いて、
「唐瓶子」と解きて、
皆でどっと笑ったので、
笑ひ合はれければ、
腹を立てて退出してしまいました。
腹立ちてまかり出でにけり。
📚古文全文
大覚寺殿にて、近習の人ども、なぞなぞを作りて解かれけるところへ、医師忠守参りたりけるに、侍従大納言公明卿、「わが朝の者とも見えぬ忠守かな」と、なぞなぞにせられにけるを、「唐瓶子」と解きて、笑ひ合はれければ、腹立ちてまかり出でにけり。