古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草103|大覚寺殿にて、近習の人ども、なぞなぞを作りて解かれけるところへ・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

医師の忠守が、公卿になぞなぞで「唐瓶子」とからかわれ、腹を立てて帰ってしまったという話。

斜視(眇目)だったらしい。同じ名前の読みで斜視だった平忠盛(伊勢忠盛)が「伊勢瓶子(へいし=平氏)は酢瓶(すがめ=眇目)なりけり」とからかわれた逸話(平家物語)と、丹波氏が渡来人であることと、さらに忠守が医師であることとかけて、三条公明に「からへいし(=唐瓶子、唐医師)」とからかわれて怒った

出典:Whikipedia 丹波忠守、2025年8月18日閲覧

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

後宇多上皇のお屋敷(大覚寺殿)で、お側に仕える人々が、なぞなぞを作っては解いていたところへ、

大覚寺だいかくじ殿どのにて、近習きんじゅうひとども、なぞなぞをつくりてかれけるところへ、

医師の丹波忠守が来ました。

医師くすし忠守ただもりまいりたりけるに、

すると、その場にいた侍従大納言の公明卿という方が、

侍従じじゅう大納言だいなごん公明きんあきらのきょう

「日本の者とは思えない忠守とは?」と、なぞなぞを出されたところ、

「わがちょうものともえぬ忠守ただもりかな」と、なぞなぞにせられにけるを、

「唐瓶子です」と解いて、

唐瓶子からへいし」ときて、

皆でどっと笑ったので、

わらはれければ、

腹を立てて退出してしまいました。

腹立はらだちてまかりでにけり。

📚古文全文

大覚寺だいかくじ殿どのにて、近習きんじゅうひとども、なぞなぞをつくりてかれけるところへ、医師くすし忠守ただもりまいりたりけるに、侍従じじゅう大納言だいなごん公明きんあきらのきょう、「わがちょうものともえぬ忠守ただもりかな」と、なぞなぞにせられにけるを、「唐瓶子からへいし」ときて、わらはれければ、腹立はらだちてまかりでにけり。