真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💡ポイント
良かれと思って下馬した武士が、勅書の作法に反すると解雇された。作法の厳しさを示す逸話。

『徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース
🌙現代語対訳
常磐井相国(太政大臣西園寺 実氏)が、宮中に行く途中、
常磐井相国、出仕し給ひけるに、
天皇の勅書を運ぶ北面の武士に出会い、その武士は馬から下りました。
勅書を持ちたる北面あひ奉りて、馬より下りたりけるを、
相国は、後日、「あの北面の武士は、天皇の勅書を持ちながら、
相国、後に、「北面なにがしは、勅書を持ちながら
下馬した者である。そのような者が、
下馬し侍りし者なり。かほどの者、
どうして帝にお仕えできようか」と、言ったため、
いかでか君に仕うまつり候ふべき」と申されければ、
その武士は職を解かれてしまいました。
北面を放たれにけり。
「勅書を、馬に乗ったまま、高く掲げて見せるべきだ。
「勅書を馬の上ながら、ささげて見せ奉るべし。
馬から下りてはならない」ということでした。
下るべからず」とぞ。
📚古文全文
常磐井相国、出仕し給ひけるに、勅書を持ちたる北面あひ奉りて、馬より下りたりけるを、相国、後に、「北面なにがしは、勅書を持ちながら下馬し侍りし者なり。かほどの者、いかでか君に仕うまつり候ふべき」と申されければ、北面を放たれにけり。
「勅書を馬の上ながら、ささげて見せ奉るべし。下るべからず」とぞ。