真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
偉大な僧の弱さを非難せず「情深い」と見た弘融僧都の感性に、筆者は奥ゆかしい魅力を感じている。

🌙現代語対訳
法顕三蔵(ほっけんさんぞう)が、インドにわたり、故郷中国の扇を見ては悲しみ、
法顕三蔵の、天竺に渡りて、故郷の扇を見ては悲しび、
病気で床に伏した時には、故郷の食べ物が食べたいと願われた、という話を聞いて、
病に臥しては漢の食を願ひ給ひけることを聞きて、
「あれほど偉大な方が、ひどく弱々しい様子を
「さばかりの人の、無下にこそ、こころ弱き気色を
異国の地で、お見せになったものだ」と、ある人が言いました。
人の国にて見え給ひけれ」と人の言ひしに、
これに対して弘融僧都が「ほんとうに優雅で、情愛のある三蔵法師だ」と、言ったのは、
弘融僧都、「優に情ありける三蔵かな」と言ひたりしこそ、
世間の僧侶にありがちな堅苦しい説教くささがなく、心惹かれる感じがしました。
法師のやうにもあらず、心にくく思えしか。
📚古文全文
法顕三蔵の、天竺に渡りて、故郷の扇を見ては悲しび、病に臥しては漢の食を願ひ給ひけることを聞きて、「さばかりの人の、無下にこそ、こころ弱き気色を人の国にて見え給ひけれ」と人の言ひしに、弘融僧都、「優に情ありける三蔵かな」と言ひたりしこそ、法師のやうにもあらず、心にくく思えしか。