古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草062|延政門院、いときなくおはしましける時・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

幼い延政門院が上皇への恋しさを、「こいしく」という言葉を分解した文字遊びの歌で伝えた、という機知に富んだ微笑ましい逸話です。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

延政門院(後嵯峨天皇の第二皇女、1332年没)が、まだ大変幼くいらっしゃった時のことです。

延政門院えんせいもんいん、いとをさなくおはしましけるとき

上皇の御所へ参上する人に、

ゐんまゐひとに、

「伝言です」と言って、次のような歌を詠まれました。

ことづて」とて、まをさせたまひける御歌おんうた

二みたいな字 牛の角みたいな字 まっすぐな字

ふた文字もじうし角文字つのもじすぐな文字もじ

ゆがんだ字 というように父君のことを思います。

ゆがみ文字もじとぞきみはおぼゆる

「こいしく」思われていらっしゃった歌ということです。

「こひしく」おもまゐらせたまふとなり。

📚古文全文

延政門院えんせいもんいん、いとをさなくおはしましけるときゐんまゐひとに、「ことづて」とて、まをさせたまひける御歌おんうた
ふた文字もじうし角文字つのもじすぐな文字もじゆがみ文字もじとぞきみはおぼゆる
「こひしく」おもまゐらせたまふとなり。