古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草057|人の語り出でたる歌物語の、歌の悪きこそ本意なけれ・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

ポイント

歌物語で肝心の和歌の出来が悪いのは残念だ。よく知らないことを語るのは、聞いていて恥ずかしく、聞き苦しい。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

和歌の話題を、人が語り始めたとき、

ひとかたでたる歌物語うたものがたりの、

その和歌の出来が悪いのは、本当にがっかりさせられます。

うたわろきこそ本意ほいなけれ。

和歌の道を少し知っている人であれば、

すこしそのみちらんひとは、

そんな和歌を素晴らしいと思って語ることはないでしょう。

いみじとおもひてはかたらじ。

全く知らないことについて物を語る人がいます。

すべていともらぬみち物語ものがたりしたる。

こちらが恥ずかしくなり、聞き苦しいものです。

かたはらいたく、きにくし。

📚古文全文

ひとかたでたる歌物語うたものがたりの、うたわろきこそ本意ほいなけれ。
すこしそのみちらんひとは、いみじとおもひてはかたらじ。すべていともらぬみち物語ものがたりしたる。かたはらいたく、きにくし。