真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
ポイント
法然上人が示した、眠い時の念仏や往生への疑いなどに対する、実践的で誰にでも開かれた教えの尊さを紹介する。

🌙現代語対訳
ある人が、法然上人にこう尋ねました。
ある人、法然上人に、
「念仏を唱えていると、どうしても眠気に襲われてしまい、
「念仏の時、睡りにをかされて、
修行を怠ってしまいます。どうすれば、
行を怠り侍ること、いかがして、
この妨げをなくすことができるでしょうか」と申し上げたところ、
この障りを止め侍らん」と申しければ、
「目が覚めている間に、念仏を唱えなさい」と
「目の覚めたらんほど、念仏し給へ」と
お答えになりました。
答へられたりける。
これは、実に尊いお言葉です。
いと貴かりけり。
また、上人は「極楽往生は、必ずできると信じれば必ずでき、
また、「往生は、一定と思へば一定、
不確かと思えば、不確かなものになるとおっしゃいました。
これも、尊いお言葉です。
これも貴し。
さらに、「疑いがあっても、念仏を唱えさえすれば、極楽往生はできる」
また、「疑ひながらも念仏すれば、往生す」
ともおっしゃっています。
とも言はれけり。
これもまた、尊いお言葉です。
これもまた貴し。
📚古文全文
ある人、法然上人に、「念仏の時、睡りにをかされて、行を怠り侍ること、いかがして、この障りを止め侍らん」と申しければ、「目の覚めたらんほど、念仏し給へ」と答へられたりける。いと貴かりけり。
また、「往生は、一定と思へば一定、不定と思へば不定なり」と言はれけり。これも貴し。
また、「疑ひながらも念仏すれば、往生す」とも言はれけり。これもまた貴し。