真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
親しい人が改まるのも疎遠な人が打ち解けるのも、共に味わい深いと筆者は人間関係の機微を肯定的に捉える。
🌙現代語対訳
いつも何の隔てもなく、親しくしている友人が、
朝夕隔てなく慣れたる人の、
ある時、私に対してよそよそしく、
ともある時、われに心おき、
改まった態度をとることがあります。
ひきつくろへるさまに見ゆるこそ、
「今さら、そんな改まらなくても」などと言う人もいるかもしれませんが、
「今さらかくやは」など言ふ人もありぬべけれど、
私はむしろ「誠実で、立派な人だなあ」と感じてしまいます。
なほ、「げにげにしく、よき人かな」とぞ思ゆる。
それほど親しくない人が、
うとき人の、
うちとけた様子で話しかけてきたりするのも、
うちとけたることなど言ひたる、
また、良い感じがします。
また、よしと思ひつきぬべし。
📚古文全文
朝夕隔てなく慣れたる人の、ともある時、われに心おき、ひきつくろへるさまに見ゆるこそ、「今さらかくやは」など言ふ人もありぬべけれど、なほ、「げにげにしく、よき人かな」とぞ思ゆる。
うとき人の、うちとけたることなど言ひたる、また、よしと思ひつきぬべし。