古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草037|朝夕隔てなく慣れたる人の、ともある時・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

親しい人が改まるのも疎遠な人が打ち解けるのも、共に味わい深いと筆者は人間関係の機微を肯定的に捉える。

🌙現代語対訳

いつも何の隔てもなく、親しくしている友人が、

朝夕(あさゆう)(へだ)てなく()れたる(ひと)の、

ある時、私に対してよそよそしく、

ともある(とき)、われに(こころ)おき、

改まった態度をとることがあります。

ひきつくろへるさまに()ゆるこそ、

「今さら、そんな改まらなくても」などと言う人もいるかもしれませんが、

(いま)さらかくやは」など()(ひと)もありぬべけれど、

私はむしろ「誠実で、立派な人だなあ」と感じてしまいます。

なほ、「げにげにしく、よき(ひと)かな」とぞ(おも)ゆる。

それほど親しくない人が、

うときひとの、

うちとけた様子で話しかけてきたりするのも、

うちとけたることなど()ひたる、

また、良い感じがします。

また、よしと(おも)ひつきぬべし。

📚古文全文

朝夕(あさゆう)(へだ)てなく()れたる(ひと)の、ともある(とき)、われに(こころ)おき、ひきつくろへるさまに()ゆるこそ、「(いま)さらかくやは」など()(ひと)もありぬべけれど、なほ、「げにげにしく、よき(ひと)かな」とぞ(おも)ゆる。
うとき(ひと)の、うちとけたることなど()ひたる、また、よしと(おも)ひつきぬべし。