古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草036|「久しく訪れぬころ、いかばかり恨むらんと、わが怠り思ひ知られて・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

しばらく会いに行かず気まずい時、女性の方から恨み言でなく気遣いのある連絡が来た。その細やかな心遣いができる人こそ素晴らしいという話。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

「長い間会いに行かなかったとき、

ひさしくおとづれぬころ、

『どれほど恨んでいることだろう』と、自分の不義理が身にしみて、

『いかばかりうらむらん』と、わがおこたおもられて、

言葉が出ないような気持ちになりますが、

言葉ことばなき心地ここちするに、

そんな時に、女性の方から、

おんなのかたより、

『雑用係はいますか。一人よこして』などと、手紙をくれることがあり、

仕丁じちょうやある。一人ひとり』など、ひおこせたるこそ、

ありがたく、嬉しいものです。

ありがたくうれしけれ。

そのような心遣いができる人こそ、素晴らしい人です」

さるこころざましたるひとぞよき」

と、ある人が申しておりましたが、実にその通りだと思える話です。

と、ひとまうはべりし、さもあるべきことなり。

📚古文全文

ひさしくおとづれぬころ、『いかばかりうらむらん』と、わがおこたおもられて、言葉ことばなき心地ここちするに、おんなのかたより、『仕丁じちょうやある。一人ひとり』など、ひおこせたるこそ、ありがたくうれしけれ。さるこころざましたるひとぞよき」と、ひとまうはべりし、さもあるべきことなり。