古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草034|甲香は法螺貝のやうなるが、小さくて、口のほどの細長にして・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

香の原料である甲香とは巻貝の蓋のこと。武蔵国金沢では「へなたり」と呼ばれていた、という豆知識。

武蔵国金沢:現在の横浜市金沢区。兼好は金沢に住んでいたことがある。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

甲香(かいこう)とは、法螺貝に似ているが、小さくて、

甲香かひかう法螺貝ほらがいのやうなるが、ちいさくて、

口の部分が細長い貝の蓋のことです。

くちのほどの細長ほそながにしてでたるかいふたなり。

これは、武蔵国の金沢という海岸で採れたのですが、

武蔵国むさしのくに金沢かなざわといふうらにありしを、

土地の人は、「へなたり」と呼んでおりますと言っていました。

ところものは、「へなたりとまうはべる」とぞひし。

📚古文全文

甲香かひかう法螺貝ほらがいのやうなるが、ちいさくて、くちのほどの細長ほそながにしてでたるかいふたなり。
武蔵国むさしのくに金沢かなざわといふうらにありしを、ところものは、「へなたりとまうはべる」とぞひし。