真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
斎王の野宮での様子は優雅で、「忌み詞」の習慣も趣深い。古い森や玉垣など、神社は総じて捨てがたく優雅なものだ。

🌙現代語対訳
斎王(伊勢神宮に奉仕する未婚の内親王)が、身を清めるために滞在される野宮(嵯峨野にあった)でのご様子は、
斎王の、野宮におはしますありさまこそ、
優雅で趣深いことの極みであると思われました。
やさしく、おもしろきことのかぎりとは思えしか。
仏や経典といった仏教に関する言葉を避けて、中子や染紙などと言い換えるのも、また面白いものです。
経・仏など忌みて、「中子」・「染紙」など言ふなるもをかし。
総じて、神社というものは、何とも言えず心惹かれる、優雅な場所ですね。
すべて、神の社こそ、捨てがたくなまめかしきものなれや。
古くからある森の佇まいだけでも非凡な雰囲気があるのに、
もの古りたる森の気色もただならぬに、
その周りに玉垣を巡らせ、榊の枝に木綿をかけて飾ってある様子など、この上なく素晴らしいとは思いませんか。
玉垣しわたして、榊に木綿かけたるなど、いみじからぬかは。
中でも特に趣深い神社を挙げると、伊勢神宮、賀茂神社、春日大社、平野神社、
ことにをかしきは、伊勢・賀茂・春日・平野・
住吉大社、三輪大明神、貴船神社、吉田神社、大原野神社、松尾大社、梅宮大社などです。
住吉・三輪・貴布禰・吉田・大原野・松尾・梅宮。
📚古文全文
斎王の、野宮におはしますありさまこそ、やさしく、おもしろきことのかぎりとは思えしか。経・仏など忌みて、「中子」・「染紙」など言ふなるもをかし。
すべて、神の社こそ、捨てがたくなまめかしきものなれや。もの古りたる森の気色もただならぬに、玉垣しわたして、榊に木綿かけたるなど、いみじからぬかは。
ことにをかしきは、伊勢・賀茂・春日・平野・住吉・三輪・貴布禰・吉田・大原野・松尾・梅宮。