真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
どこへ行くにしても旅は気分を一新させ、目にするもの全てが新鮮に映る。旅先では自然と心遣いが生まれ、人も物も普段より魅力的に見える。

🌙現代語対訳
どこへ行くのでもよいのですが、少しの間でも旅に出てみると、
いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、
目が覚めるような気持ちがするものです。
目覚むる心地すれ。
旅先ではそのあたりをあちこちと見て歩きます。
そのわたり、ここかしこ見歩き。
田舎びた土地や山里などでは、
田舎びたる所、山里などは、
見慣れない珍しいことばかりです。
いと目慣れぬことのみぞ多かる。
都へ帰る人を見つけては手紙を頼み、
都へ便り求めて文やる。
「あれとこれを、忘れないで、ちゃんとやること」
「そのこと、かのこと、便宜に、忘るな」
などと書き送るのも、また楽しいものです。
など言ひやるこそをかしけれ。
そういった旅先にいると、いろいろなことに対して気配りができるようになります。
さやうの所にてこそ、よろづに心づかひせらるれ。
持っている道具でさえ良いものは一層すばらしく見え、
持てる調度まで、よきはよく、
才能のある人や容姿の美しい人も、普段よりずっと魅力的に見えるものです。
能ある人、形よき人も、常よりはをかしとこそ見ゆれ。
また、お寺や神社に人目を忍んで静かに滞在してみるのも、趣があります。
寺・社などに、忍びてこもりたるもをかし。
📚古文全文
いづくにもあれ、しばし旅立ちたるこそ、目覚むる心地すれ。
そのわたり、ここかしこ見歩き。田舎びたる所、山里などは、いと目慣れぬことのみぞ多かる。都へ便り求めて文やる。「そのこと、かのこと、便宜に、忘るな」など言ひやるこそをかしけれ。
さやうの所にてこそ、よろづに心づかひせらるれ。持てる調度まで、よきはよく、能ある人、形よき人も、常よりはをかしとこそ見ゆれ。
寺・社などに、忍びてこもりたるもをかし。