古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草012|同じ心ならん人と、しめやかに・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

全てが同じ意見の人では退屈だが、かといって根本的な価値観が違う人とは真の友にはなれない。理想の友人関係の難しさを描いています。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

自分と意見の合う人と、静かにじっくりと語り合って、

おなこころならんひとと、しめやかに物語ものがたりして、

趣深いことや、この世のはかなさといったことまで、

をかしきことも、のはかなきことも、

包み隠さずに話して心を慰め合えたら、それは嬉しいことだろう。

うらなくなぐさまんこそうれしかるべきに、

しかし、そんな人はいないだろうし、

さるひとあるまじければ、

意見が少しも違わない人と向かい合っていたら、

「つゆたがはざらん」とむかたらんは、

まるで一人でいるような気持ちになるのではないだろうか。

一人ひとりある心地ここちやせん。

互いの言うことに対して

たがひにはんほどのことをば、

「本当にそうだね」と聞き合えるのも良いが、

「げに」とくかひあるものから、

むしろ、少しぐらい意見が違う人の方が、

いささかちがところもあらんひとこそ、

「私はそうは思わないな」などと言い合ったり、軽く反論し合ったり、

われはさやはおもふ」など、あらそにくみ、

「だからこうなんだ」「なるほど」と語り合ったりすれば、

「さるから、さぞ」とも、うちかたらはば、

退屈な時間も紛れるかもしれない、とも思う。

つれづれなぐさまめとおもへど、

けれども、よく考えると、世の中に対して不満を感じるポイントが自分と違う人は、

げにはすこしかこつかたも、われとひとしからざらんひとは、

結局のところ、当たり障りのない世間話をするくらいの間柄でしかいられないだろう。

おほかたのよしなしごと言はんほどこそあらめ、

本当の心の友となるには、

まめやかのこころともには、

大きな隔たりがあるに違いない。

はるかにへだたるところのありぬべきぞ、

なんとも寂しいことだ。

わびしきや。

📚古文全文

おなこころならんひとと、しめやかに物語ものがたりして、をかしきことも、のはかなきことも、うらなくなぐさまんこそうれしかるべきに、さるひとあるまじければ、「つゆたがはざらん」とむかたらんは、一人ひとりある心地ここちやせん。
たがひにはんほどのことをば、「げに」とくかひあるものから、いささかちがところもあらんひとこそ、「われはさやはおもふ」など、あらそにくみ、「さるから、さぞ」とも、うちかたらはば、つれづれなぐさまめとおもへど、げにはすこしかこつかたも、われとひとしからざらんひとは、おほかたのよしなしごとはんほどこそあらめ、まめやかのこころともには、はるかにへだたるところのありぬべきぞ、わびしきや。