古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草005|不幸に愁へに沈める人の・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

不幸から衝動的に出家するのではなく、静かに隠遁生活を送るのが望ましい。その中で見る月もまた、格別の趣があるだろう。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

不幸や悲しみに沈んだ人が、

不幸ふこううれへにしづめるひとの、

出家などを、浅はかな考えで衝動的に決めてしまうのではなく、

かしらおろしなど、ふつつかにおもりたるにはあらで、

生きているかどうかも分からないほどひっそりと門を閉ざし、

あるかなきかにかどさしこめて、

俗世との関わりを断って静かに日々を過ごしている、

つこともなくかしらしたる、

そのようなあり方は理想的です。

さるかたにあらまほし。

 

顕基中納言が「流罪になって見る月」とおっしゃったそうですが、

顕基あきもと中納言ちゅうなごんひけん、配所はいしょつき

罪を犯したわけでもないのに(隠遁生活の中で)見る月も、きっと同じように素晴らしいものに違いありません。

つみなくてんこと、さもおぼえぬべし。

📚古文全文

不幸ふこううれへにしづめるひとの、かしらおろしなど、ふつつかにおもりたるにはあらで、あるかなきかにかどさしこめて、つこともなくかしらしたる、さるかたにあらまほし。
顕基あきもと中納言ちゅうなごんひけん、配所はいしょつきつみなくてんこと、さもおぼえぬべし。