真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
男の理想として、恋愛の情趣を解しつつも、誠実であることが重要だと説きます。

🌙現代語対訳
何から何まで素晴らしくても、恋愛の情趣を解さない男性は、
よろづにいみじくとも、色好まざらん男は、
とても物足りなく、まるで底の抜けた玉の杯のようで、がっかりしてしまいます。
いとさうざうしく、玉の巵の当なき心地ぞすべき。
恋のために、夜露や霜に濡れながらあてもなくさまよい、
露霜にしほたれて、所定めずまどひ歩き、
親の忠告や世間の非難を気にかけ、恋人に会えるだろうかと思い乱れ、
親のいさめ、世のそしりを包むに、心のいとまなく、あふさきるさに思ひ乱れ、
結局は一人寂しく寝ることが多くて、ろくに眠れない夜を過ごす――そんな姿こそが、しみじみと趣深いものです。
さるは独寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
そうかといって、ただ色恋に溺れる者というわけではなく、
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、
女性から「軽々しい人だ」と思われないことこそが、理想的なあり方なのです。
女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。
📚古文全文
よろづにいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉の巵の当なき心地ぞすべき。
露霜にしほたれて、所定めずまどひ歩き、親のいさめ、世のそしりを包むに、心のいとまなく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは独寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。