古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草003|よろづにいみじくとも、色好まざらん男は・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

男の理想として、恋愛の情趣を解しつつも、誠実であることが重要だと説きます。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

何から何まで素晴らしくても、恋愛の情趣を解さない男性は、

よろづにいみじくとも、いろこのまざらんおとこは、

とても物足りなく、まるで底の抜けた玉の杯のようで、がっかりしてしまいます。

いとさうざうしく、たまさかづきそこなき心地ここちぞすべき。

恋のために、夜露や霜に濡れながらあてもなくさまよい、

露霜つゆしもにしほたれて、ところさだめずまどひありき、

親の忠告や世間の非難を気にかけ、恋人に会えるだろうかと思い乱れ、

おやのいさめ、のそしりをつつむに、こころのいとまなく、あふさきるさにおもみだれ、

結局は一人寂しく寝ることが多くて、ろくに眠れない夜を過ごす――そんな姿こそが、しみじみと趣深いものです。

さるは独寝ひとりねがちに、まどろむなきこそをかしけれ。

そうかといって、ただ色恋に溺れる者というわけではなく、

さりとて、ひたすらたはれたるかたにはあらで、

女性から「軽々しい人だ」と思われないことこそが、理想的なあり方なのです。

おんなにたやすからずおもはれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。

📚古文全文

よろづにいみじくとも、いろこのまざらんおとこは、いとさうざうしく、たまさかづきそこなき心地ここちぞすべき。
露霜つゆしもにしほたれて、ところさだめずまどひありき、おやのいさめ、のそしりをつつむに、こころのいとまなく、あふさきるさにおもみだれ、さるは独寝ひとりねがちに、まどろむなきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたるかたにはあらで、おんなにたやすからずおもはれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。