真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。
💭ポイント
為政者の贅沢を戒め、民を思うべきで、九条殿や順徳院の遺誡を引用し、質素倹約の重要性を説きます。

🌙現代語対訳
昔の理想的な政治のあり方を忘れ、
いにしへの、ひじりの御代の政をも忘れ、
民が苦しみ国が衰えていることにも気づかず、
民の愁へ、国の損はるるをも知らず、
何から何まで贅沢の限りを尽くして「これが素晴らしいのだ」と思い込み、
よろづにきよらを尽して、「いみじ」と思ひ、
豪華なもので身の回りを窮屈にしている人というのは、実に情けなく、思慮の浅い人に見える。
所狭きさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。
「衣服や冠から馬や車に至るまで、決められている通りのものを用いなさい。
「衣冠より、馬・車に至るまで、あるにしたがひて用ゐよ。
ことさらに美しく飾ることを求めてはならない」と、九条殿の遺言にも書かれています。
美麗を求むることなかれ」とぞ、九条殿の遺誡にも侍る。
また、順徳院が宮中のしきたりについてお書きになった書物にも、
順徳院の禁中の事ども書かせ給へるにも、
「公的な場で用いられる物品や供物は、質素なものであることを良しとする」とあります。
「おほやけの奉り物は、おろそかなるをもてよしとす」とこそ侍れ。

📚古文全文
いにしへの、ひじりの御代の政をも忘れ、民の愁へ、国の損はるるをも知らず、よろづにきよらを尽して、「いみじ」と思ひ、所狭きさましたる人こそ、うたて、思ふところなく見ゆれ。
「衣冠より、馬・車に至るまで、あるにしたがひて用ゐよ。美麗を求むることなかれ」とぞ、九条殿の遺誡にも侍る。
順徳院の禁中の事ども書かせ給へるにも、「おほやけの奉り物は、おろそかなるをもてよしとす」とこそ侍れ。