古文で読みたい

古典を読みたい人が、古典にアクセスするための本です

徒然草002|いにしへの、ひじりの御代の・・・

真の古典の魅力は、作者が紡いだ原文の中にこそ息づいています。「古文で読みたい徒然草シリーズ」で、現代語と古文を併読することで、古の言葉が今なお放つ光を確かめてください。

💭ポイント

為政者の贅沢を戒め、民を思うべきで、九条殿や順徳院の遺誡を引用し、質素倹約の重要性を説きます。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

🌙現代語対訳

昔の理想的な政治のあり方を忘れ、

いにしへの、ひじりの御代みよまつりごとをもわすれ、

民が苦しみ国が衰えていることにも気づかず、

たみうれへ、くにそこなはるるをもらず、

何から何まで贅沢の限りを尽くして「これが素晴らしいのだ」と思い込み、

よろづにきよらをつくして、「いみじ」とおもひ、

豪華なもので身の回りを窮屈にしている人というのは、実に情けなく、思慮の浅い人に見える。

所狭ところせきさましたるひとこそ、うたて、おもふところなくゆれ。

「衣服や冠から馬や車に至るまで、決められている通りのものを用いなさい。

衣冠いかんより、うまくるまいたるまで、あるにしたがひてもちゐよ。

ことさらに美しく飾ることを求めてはならない」と、九条殿の遺言にも書かれています。

美麗びれいもとむることなかれ」とぞ、九条殿くぜうどの遺誡ゆいかいにもはべる。

また、順徳院が宮中のしきたりについてお書きになった書物にも、

順徳院じゅんとくいん禁中きんちゅうことどもかせたまへるにも、

「公的な場で用いられる物品や供物は、質素なものであることを良しとする」とあります。

「おほやけのたてまつものは、おろそかなるをもてよしとす」とこそはべれ。

徒然草絵抄』(小泉吉永所蔵) 出典: 国書データベース

📚古文全文

いにしへの、ひじりの御代みよまつりごとをもわすれ、たみうれへ、くにそこなはるるをもらず、よろづにきよらをつくして、「いみじ」とおもひ、所狭ところせきさましたるひとこそ、うたて、おもふところなくゆれ。
衣冠いかんより、うまくるまいたるまで、あるにしたがひてもちゐよ。美麗びれいもとむることなかれ」とぞ、九条殿くぜうどの遺誡ゆいかいにもはべる。
順徳院じゅんとくいん禁中きんちゅうことどもかせたまへるにも、「おほやけのたてまつものは、おろそかなるをもてよしとす」とこそはべれ。